はじめまして。静岡県静岡市で不動産売却・査定を専門にサポートしております、株式会社森田不動産の鈴木と申します。
このコラムをご覧いただき、ありがとうございます。 おそらく、静岡市(葵区、駿河区、清水区)にあるご実家などを相続され、「誰も住まない家(空き家)をどうすればいいのだろう?」と、その活用や処分にお悩みではないでしょうか。
インターネットで空き家対策を調べていると、必ず目にするのが「空き家バンク」という言葉です。 「市が運営しているから安心そう」「無料で登録できるらしい」といったイメージはあるものの、実際にどんな仕組みで、どんなメリット・デメリットがあるのか、そして本当に売れるのか、具体的なことはよく分からないという方も多いはずです。
そこでこの記事では、静岡市の「空き家バンク」制度について、不動産のプロの視点からその仕組み、登録するメリット・デメリット、そして実際に売却(または賃貸)に至るまでの流れを徹底的に解説します。
この記事を最後までお読みいただければ、あなたの空き家が「空き家バンク」に向いているのか、それとも「一般の不動産売却」の方が適しているのか、最適な選択肢が明確になります。
静岡市で空き家の処分にお困りのご家族、空き家バンクへの登録を検討中の方は、ぜひ最後までじっくりとお読みいただき、賢い空き家活用にお役立てください。
静岡市の「空き家バンク」とは?仕組みと目的を分かりやすく解説

まず、「空き家バンク」とは一体どのような制度なのでしょうか。
静岡市と不動産業界が連携するマッチングシステム
「空き家バンク」とは、静岡市内に空き家を持っている所有者(売りたい・貸したい人)から物件情報を登録してもらい、その情報を市のホームページなどで公開して、空き家を利用したい希望者(買いたい・借りたい人)に紹介する制度です。
簡単に言えば、「市が運営する空き家のマッチングサイト」のようなものです。 静岡市では、市が窓口となって情報発信を行いますが、実際の売買や賃貸の交渉・契約手続きは、市と協定を結んでいる「宅地建物取引業者(不動産会社)」が仲介に入って行います。これにより、専門的な知識が必要な契約トラブルを防ぐ仕組みになっています。
空き家バンクの目的は「移住定住」と「空き家解消」
静岡市がこの制度を運営する主な目的は2つあります。
- 移住・定住の促進: 市外からの移住者や、若年世帯・子育て世帯に、手頃な価格で住まいを提供すること。
- 空き家の解消: 放置される空き家を減らし、地域の防犯・防災、景観の維持を図ること。
そのため、登録される物件は「すぐに住める状態の家」だけでなく、「リフォームが必要な古い家」でも、活用が見込めるものであれば対象となります。
静岡市空き家バンクに登録する「メリット」:補助金が最大の魅力

では、一般の不動産会社に直接依頼するのではなく、あえて「空き家バンク」に登録するメリットは何でしょうか。
メリット1:静岡市独自の「補助金」が利用できる
これが最大のメリットです。空き家バンクに登録された物件を売買・賃貸する場合、売主(貸主)や買主(借主)に対して、静岡市からリフォーム費用などの補助金が出る場合があります。(※年度や予算により制度内容は異なります)
例えば、
- 成約奨励金: 空き家バンクを通じて成約した場合に、売主等に交付される奨励金。
- 改修工事補助金: 買主(移住者など)がリフォームを行う際に、その費用の一部を補助する制度。
- 家財処分補助金: 空き家に残っている荷物(家財道具)を処分する費用の一部を補助する制度。
これらの補助金があることで、買主にとっては「リフォーム費用が安く済む」という大きなインセンティブになり、結果として売却しやすくなる効果があります。
メリット2:市が広報してくれるため「安心感」がある
静岡市の公式ホームページなどで情報が公開されるため、購入希望者に対して「行政が関わっている物件」という安心感を与えることができます。 特に、静岡市への移住を検討している県外の方は、まず市の空き家バンク情報をチェックする傾向が強いため、そうした層へのアピール力は高いと言えます。
静岡市空き家バンクに登録する「デメリット」と注意点
一方で、空き家バンクにはデメリットや、登録できないケースもあります。
デメリット1:すぐに登録・公開されるわけではない(時間がかかる)
一般の不動産会社であれば、査定から数日で広告を開始できますが、空き家バンクは手続きに時間がかかります。 申請書の提出、市の担当者や不動産会社による現地調査、審査などを経て登録されるため、情報公開までに1ヶ月程度かかることもあります。「今すぐ売り出したい」という方には不向きかもしれません。
デメリット2:すべての空き家が登録できるわけではない
「どんなボロボロの家でも登録できる」わけではありません。
- 大規模な修繕をしないと住めないような「老朽化が著しい物件」
- 抵当権などの権利関係が複雑な物件
- 建築基準法などの法令に違反している物件
これらは、登録を断られる場合があります。あくまで「活用できる空き家」が対象です。
デメリット3:価格交渉や契約は「当事者間」または「不動産会社」が行う
市はあくまで「情報の紹介」を行うだけで、価格交渉や契約には一切関与しません。 トラブルを避けるため、静岡市では登録時に不動産会社(宅建協会会員)の仲介を必須としています。つまり、一般の売却と同様に、成約時には不動産会社への仲介手数料が発生します。「市がやるから手数料無料」ではない点に注意が必要です。
静岡市空き家バンクの「登録から売却まで」の流れ
実際に空き家バンクを利用する場合の、具体的なステップを見ていきましょう。
- 相談・申請: 静岡市の担当窓口(住宅政策課など)に相談し、「空き家情報バンク登録申込書」を提出します。
- 現地調査: 市の担当者と、協定を結んでいる不動産会社の担当者が現地を訪問し、建物の状態や設備を確認します。
- 登録・公開: 審査に通れば空き家バンクに登録され、市のホームページなどで写真や間取り図、価格などの情報が公開されます。
- 利用希望者からの問い合わせ: 購入(賃貸)希望者から市へ問い合わせが入ると、市から登録者(所有者)または担当不動産会社へ連絡がいきます。
- 現地見学・交渉: 不動産会社の仲介のもと、希望者が現地を見学し、条件交渉を行います。
- 契約・引き渡し: 条件が合意に至れば、売買(賃貸)契約を締結し、物件を引き渡します。この時点で、不動産会社へ仲介手数料を支払います。
「空き家バンク」と「一般売却」どっちがおすすめ?プロの判断基準

「結局、私の空き家は空き家バンクを使った方がいいの?それとも普通の不動産会社に任せた方がいいの?」 その判断基準を、プロの視点でアドバイスします。
「空き家バンク」がおすすめなケース
- 市街化調整区域や山間部など、一般市場では売りにくいエリアにある物件: 不動産会社が積極的に扱いたがらないエリアでも、空き家バンクなら「田舎暮らし」を希望する移住者の目に留まる可能性があります。
- 多少古くても「安く」貸したり売ったりしたい物件: リフォーム前提で安く探している層とマッチングしやすいです。
- 補助金を使って少しでも有利に売りたい物件: 買主が補助金を使えることで、成約率が上がる可能性があります。
「一般の不動産売却(仲介・買取)」がおすすめなケース
- 静岡駅周辺や人気学区など、需要が高いエリアにある物件: 空き家バンクを使わなくても、一般の不動産市場(SUUMOなど)に出せばすぐに高く売れる可能性が高いです。わざわざ手続きの遅いバンクを使うメリットは薄いです。
- 「早く」現金化したい場合: スピード重視なら、不動産会社の「買取」が圧倒的に早いです。
- 相続した実家の荷物がそのままの場合: 空き家バンクは基本的に「片付いている状態」での登録が望ましいですが、不動産会社の「買取」なら荷物そのままで売却可能です。
まとめ:空き家バンクは選択肢の一つ。まずはプロに相談を
静岡市の空き家バンクについて、メリット・デメリットと活用法を解説してきました。
- 空き家バンクの強み: 行政の安心感、補助金の活用、郊外物件のマッチング。
- 空き家バンクの弱点: 手続きに時間がかかる、登録要件がある、市は契約に関与しない。
- 一般売却との使い分け: 人気エリアやスピード重視なら一般売却、条件が厳しい物件や移住者狙いなら空き家バンク。
空き家バンクは有効な制度ですが、すべての空き家にとってベストな解決策とは限りません。 大切なのは、ご自身の空き家の「価値(ポテンシャル)」を正しく見極め、最適な売却方法を選ぶことです。
「私の実家は、空き家バンクに登録できる?」「普通に売ったらいくらになる?」 そう思われたら、まずは私たちのような地域の不動産会社にご相談ください。空き家バンクへの登録サポートも含め、あなたにとって一番メリットのある方法をご提案いたします。
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